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保証解除の上インセンティブ資産を含め194万円の資産を残せた事案
保証解除の上インセンティブ資産を含め194万円の資産を残せた事案
1 破産した場合でも、自由財産といって99万円の範囲で現金等を残せます(破産法34条3項1号)。ところが、経営者保証に関するガイドライン(以下、GLといいます。)に基づく保証解除をした場合、それを超える一定の範囲額の資産等を残すことが可能なときがあります(関心のある方は、HPの「残存資産」を参照下さい。)。
今回は、GLに基づく保証解除の際、インセンティブ資産を含め194万円の資産を残すことができた事案の紹介です(残存資産の概要は、生命保険の解約返戻金で、実質的には保険を解約せずに残すことができました。)。
2 依頼者Aは、美容小物を販売するB社の代表者で、B社の金融負債を連帯保証していました(急成長した会社で、最盛期の売上は10億円超、従業員92名いました。)。
ところが、B社が、同業者間の競争激化とコスト増による業績悪化により、次第に資金繰りが行き詰まり、自己破産しました(負債総額2億円)。
自己破産申立の時点で、B社には現金等が400万円存在し、Aにも生命保険の外に400万円を超える預貯金がありました。Aとしては、これらを注ぎ込みB社の経営を継続することもできましたが、資金繰りを計算しても数ヶ月しかもたない可能性が高かったことから、GLの存在も考慮した上で、早期の事業停止・自己破産申立をすることにしました。
3 金融機関の現場からは、代表者の資産を残して保証解除をするなんてとんでもないことで、経営責任を全うすべきだという声もたまに聞かれます。ただ、Aのように代表者であればこそ、事業停止の時期を判断することができ、ムダ金を使わず、より多くの配当を債権者にすることが可能になります。そこで、債権者の「回収見込額の増額」を上限として、インセンティブ資産を残すことをGLは認めました(GL第7項(3)③)。
ちなみに、残すことができる一定範囲額とは、雇用保険の給付期間(90~330日)が参考とされ、最大値が330日・360万円程(+自由財産)となっています(保証人が45歳以上60歳未満の場合)。
Aはまだ若く、この最大値が適用される年齢でしたが、生命保険を残せればいいという考えでしたので、個人の預貯金から450万円を保証債務の履行として金融機関に案分弁済し、保証解除が許されました。