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個人再生手続によっても減額されない借金にはどのようなものがあるのでしょうか。
個人再生手続によっても減額されない借金にはどのようなものがあるのでしょうか。
Q.私は、大阪市住吉区にある、5年前に住宅ローンを組んで購入したマンションに住んでいます。住宅ローン債務以外にも、約800万円の借金や固定資産税や国民年金の滞納もあり、返済・支払いがとても厳しい状況です。自宅は残したいと思うので、個人再生の申立てを検討しているのですが、個人再生をしても減額されない借金があると聞きました。減額されない借金として、どのようなものがあるのでしょうか。
A.個人再生手続によっても減額されない債権として、①共益債権、②一般優先債権、③非減免債権の3種類があります。
(1)共益債権とは
共益債権とは、再生計画によらずに、随時に、再生債権(ここでは、再生計画により減額される債権と考えていただいて差し支えありません)に優先して弁済される債権をいいます(民事再生法119条、121条)。
たとえば、個人再生委員が選任された場合の個人再生委員の報酬(民事再生法119条4号)や、再生債務者の生活に関する費用の請求権(民事再生法119条2号)等が共益債権に該当します。
その他、養育費も共益債権として扱われています。
(2)一般優先債権とは
一般優先債権とは、一般の先取特権その他一般の優先権がある債権であって共益債権以外のものをいいます(民事再生法122条1項)。
少し難しいですが、簡単にいうと、再生手続等が行われなかったとしても、法律上優先的に回収することができるとされている債権のことをいいます。所得税、住民税などの税金、国民年金、交通違反の罰金などが一般優先債権に該当します。
(3)非減免債権とは
非減免債権とは、再生計画によって、債務の減免その他権利に影響を及ぼす定めをすることができないとされている債権のことをいいます(民事再生法229条3項)。
たとえば、交通事故で怪我をさせてしまった場合に負担する損害賠償債務(被害者の側から見ると損害賠償債権です)が非減免債権にあたります。
(4)共益債権、一般優先債権、非減免債権はどう違うの?
民事再生法上、共益債権、一般優先債権、非減免債権は区別されていますが、一般の個人の方が個人再生を申立て、再生計画に基づいて返済をしていく中では、その違いに大きな意味はないと考えていただいて構わないと思います。
要するに、滞納している税金や国民年金、離婚している場合の養育費の支払い、交通事故の損害賠償債務など、一定の債務については個人再生によっても減額されず、全額支払う必要があるということだけ覚えておいていただければかまいません。
裁判所は、これらの減額されない債務の支払いに加えて、個人再生手続で減額された債務を返済していくことができるかどうかによって、個人再生が可能かどうかを判断しますので、税金を滞納している場合などは早めに支払っておくことが望ましいでしょう。