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自己破産手続後、生命保険の保険金を受け取ることはできるのでしょうか。

自己破産手続後、生命保険の保険金を受け取ることはできるのでしょうか。

Q.私は現在、大阪地方裁判所で破産手続の開始決定を受け、破産手続中です。父が私を受取人に指定し、加入していた生命保険があったのですが、破産手続の開始決定後に父が亡くなりました。 この場合、保険金を手元に残すことはできないのでしょうか。

A.保険金について、全額をお手元に残すことは、基本的にできないものと考えられます。

(1)破産した場合に、債権者に配当されることとなる財産とは

 自己破産をしたが、免責が認められなかった場合はどうなるのでしょうか。 破産手続は、手持ちの財産を金銭に換えて、債権者に対して配当することで、借金等を清算する手続です。債権者への配当原資に充てられる財産は、破産者が、破産手続開始の時において有している財産に限定されています(破産法34条1項)。

 この「破産者が破産手続開始の時において有している財産」には、「破産者が破産手続開始前に生じた原因に基いて行うことがある将来の請求権」も含まれます(破産法34条2項)。

(2)破産手続開始前に生じた原因に基いて行うことがある将来の請求権とは

 将来の請求権とは、たとえば、3か月後に売買代金の支払いを受けるといったような期限付きの債権や、賃借物件を明け渡したことを条件に返還を受ける敷金返還請求権のような条件付きの債権をいいます。

 このような将来の請求権については、破産手続の開始前に債権が発生する原因があるけれども(上記の例でいえば、売買契約や賃貸借契約を締結したのが破産手続開始前である、ということです)、実際に請求することができるのは破産手続開始決定後である、という場合であっても、それらの債権(もしくは債権を行使することにより受け取る金銭)は債権者への配当原資に充てられることになります。

(3)保険金の請求権について

 さて、保険金の請求権についてですが、破産手続開始前に、お父上があなたを受取人とした生命保険の契約をしていた場合、あなたには、将来お父上が亡くなられた場合には保険金を請求することができるという、条件付きの権利があるということになります。そして、その権利はまさに「破産手続開始前に生じた原因に基いて行うことがある将来の請求権」に該当します。そのため、破産手続開始後にお父上が亡くなられ、保険金の請求権が具体的に発生した場合でも、その請求権(あるいは保険金)は、債権者への配当に充てられることになり、すべてをお手元に残すことはできないということになるのです。

 ただし、破産手続においては預貯金や自動車などを含め、99万円までの財産はお手元に残すことが可能ですので、その他の財産との兼ね合いもありますが、保険金をある程度お手元に残すことができる可能性はあります。

 もっとも、上に述べた事項については、東京高等裁判所の裁判例があるにとどまり、見解も分かれているところでもあるので、大阪梅田にある当事務所の弁護士までご相談いただければと思います。

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