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住宅ローンを完済している場合でも、個人再生手続で自宅を残すことは可能でしょうか。
住宅ローンを完済している場合でも、個人再生手続で自宅を残すことは可能でしょうか。
Q. 私は、高槻市に自宅を所有しており、住宅ローンは完済しているのですが、このような場合も個人再生手続を利用することにより自宅を残すことができるのでしょうか。
A. 住宅ローンを完済していたとしても、個人再生手続は利用できます。
(1)個人再生のメリット
個人再生手続を利用する最大のメリットは、ご自宅を残したまま債務整理ができる『住宅資金特別条項を付した個人再生』という制度が利用できるところにあります。
しかし、この制度は、住宅ローンが残っている場合にしか利用できません。
(2)自宅を残す裏ワザ
とはいえ、住宅ローンを完済していたとしても、ご自宅を残すことが不可能であるというわけではありません。
個人再生手続では「清算価値保障原則」という原則があります。この原則は、個人再生による弁済額が、破産による配当額を上回らなければならない、上回る場合でなければ再生手続は利用できないという原則です。
分かりにくいと思いますので、次のような事例をあげます。
Aさんは、借金の総額が600万円、住宅ローンを完済した自宅の価値が500万円とします。
この場合、仮にAさんに自宅がなければ、借金の額が5分の1に圧縮されるので、120万円(600万×1/5)を3年で支払っていけばよい、ということになります。
しかしながら、ご自宅の価値が500万円ということであれば、Aさんが破産をした場合には、Aさんの債権者は最大500万円の配当を受けることができるはずですよね。この数字は、120万円<500万円ですので、再生による弁済額が破産による配当額を下回っている状態になり、Aさんの弁済額は120万円から修正され、結局500万円を返済しなければならないということになり、個人再生手続を利用するメリットはあまりありません。
もっとも、ご自宅が古い物件で財産的価値がかなり低い場合や、総債務額がとても多額であり、ご自宅の価値分を弁済したとしても、弁済総額がかなり低くて済むような場合には、個人再生を利用するメリットは依然としてあるということになるでしょう。
上記の例でいえば、Aさんの借金が3000万円ある、自宅の価値は500万円しかない、といったケースです。
この場合は、個人再生の利用により本来の支払額は300万円に圧縮されます(3000万円×1/10)。そして、上記した清算価値原則で最低弁済額は500万円に修正されます。この場合、個人再生をしなければ3000万円を返さなければいけないところが、500万円に圧縮されるわけですから、個人再生を利用するメリットは大いにある、ということになります。
このような複雑な判断は、弁護士において、正確に行う必要がありますので、不安に思われた方はぜひ大阪の弊事務所までお問合せ下さい。